第25話 ホスト部解散宣言桜蘭高校ホスト部第25話 ホスト部解散宣言 学祭(第43回桜蘭祭) 前夜祭の朝 オープニングセレモニー準備中 生徒ではなく、業者の方が荷物を運んだりしています。 「テーブルもみんな中央塔のサロンに運んで」 はいと言う業者の方。 それは気をつけてと言う馨。 「あの~学祭ってもっとこう、手作り感というか、自分たちの手で作るものじゃないんですか?」 「それは一般の学校の話だろ。この桜蘭祭で重視されるのは企画力と統率力だ。ここの学生たちのほとんどは将来、リーダーにたる資質を期待されているその力をアピールすることを要求されている」 「はぁ…」 馬車の運転をしていた光。 「上手いぞ。もう任せられるな」 環がハルヒに乗るように言います。 桜蘭祭のスペシャルパレードの予行練習だそうです。 女生徒たちはホスト部を目の前にして目をハートにしています。 ホスト部を乗せた馬車に乗りたいとまで言っています。 (運転を)やるようになったじゃんと言う馨と一緒に練習すればよかったのにと言う光。 双子でも趣味や特技は違ってくるさと言う馨。 皆で馬車に乗るのは楽しいねと言うハニー先輩ですが、ハルヒはそうですか?と言っています。 しかも、環は明日の本番では中世フランス風に着飾って決めると言っています。 ど派手衣装も用意されているようです。 「さて、オープニングセレモニーの始まりだ」 「はぁ…」 「学院の歴史に残る桜蘭祭にするぞ」 「そうですね」 オーケストラによる演奏に合わせて踊っている生徒たち。 桜蘭祭オープニングセレモニーです。 珠洲島と春日崎さん、委員長と倉賀野さんは踊っています。 女生徒に囲まれて顔が真っ赤になっているスーツ姿のボサノバくん。 中央塔サロン ホスト部一般公開営業をしています。 ハルヒはケーキやティーセットを運んでいます。 『いいか、学祭スペシャルイベントとして父兄や来賓の方々にホスト部を公開する今日と明日の2日間、いつも以上に華やかに咲き誇るように接客するのだぞ』 女生徒が母親にいつも話しているホスト部よと紹介しています。 女生徒の母親は少しばかり綺麗だからって、それを鼻にかけて女性に持て囃されようなんてと言っています。 「そうですね、マダム。確かに許していただけないかもしれません。なぜならこの部の本当の目的はマダムのような美しい花と一時を過ごしたいという僕の我侭でしかないのですから」 環は手に触れることも忘れません。 「まぁ…」 マダムは顔を少し赤らめています。 親子共々目をハートにしています。 対マダム作戦で営業中。 やれやれと言うハルヒ。 「ボタンが外れているぞ、光邦」 「てへっ、ありがとう」 ハニー先輩のボタンを留めるモリ先輩。 弟思いのいいお兄さんとご父兄さんから思われています。 違うと言うハルヒ。 「父も母も多忙で僕らはいつも2人きりで過ごしてきましたから」 「だから、僕たちどうしようもない寂しがり屋なんです」 まぁ可哀相と眼をウルウルさせているご父兄。 どの口が物を言うかと言うハルヒ。 「この部は社交的教養を身につけることもテーマにしておりますので日ごろから格好の行事や歴史的民族衣装も幅広く研究しております」 素晴らしいと言う男性。 いけしゃあしゃあと適当なことをと言うハルヒ。 それにしても贅沢なイベントですねと言うハルヒ。 たかが学際にお金かけ過ぎだと言います。 鏡夜はパソコンを操作しています。 「何を言うか。この機会に我が桜蘭ホスト部の魅力を世間に広くアピールしようという、これは一大キャンペーン大作戦なのだ」 ハルヒは肩に回された環の手を捻ります。 「確かに今回は予算をかけ過ぎた」 「鏡夜…?」 「このサロンはいいとして、わざわざフランスからクラシック馬車まで空輸してお前の我侭企画には毎度のことながら手を焼かされる」 「ですよね」 このホスト部キングの我侭こそが皆を幸せにする我侭だとか言う環。 その様子を見ている女性。 その女性に何か甘いものでもお持ちしましょうかと話しかけるハルヒ。 あなたもホスト部員?と尋ねられます。 「お父さん!?」 真っ白なスーツに身を包んでいます。 「お父さんとは馴れ馴れしい。学院では理事長と呼べ。それに今日は客としてきたんだぞ」 理事長須王譲…環の父… 「いらっしゃいませ、理事長。さぁ、こちらの席へどうぞ」 視線を移すハルヒと女性。 ハルヒが女性の方を向くと、女性は視線を反らせます。 シャンデリアに捕まって様子を窺っている環。 「鏡夜くん、君がこの部を仕切ってくれるからこそだな。子息が面倒をかけているね」 「いえいえ、彼あってこそのホスト部ですから。何かご注文は?」 鏡夜にひそひそ話をする譲。 ハルヒがご指名され、環は驚きシャンデリアから落ちてしまいます。 像に隠れながら様子を窺う環。 譲の隣に座るハルヒ。 あまり似ていないかなと思っているハルヒ。 「はじめまして。理事長にはもっと早くご挨拶しなければと思っていたのですが…」 「理事長なんて水臭い。私のことはそう、『おじさま』と呼んでくれたまえ」 照れながら赤い薔薇を一輪手にしています。 環は像から落ちています。 やっぱり環のお父さんだと思うハルヒ。 「どうも、多忙でなかなか学院に顔を出せないが、君の優秀さはいつも耳にしているよ」 はぁ、どうもと言いながら薔薇を受け取ろうとするハルヒの手を取る譲。 「何か困ったことがあったらいつでも遠慮せずなく、このおじさまに言いなさい」 「はぁ…」 お父さんと言う環に理事長と呼ぶように言う譲。 「何をしてるんですか。すぐにその手を放してください!!」 鏡夜が父親に頬を叩かれ、眼鏡が床に落ちました。 こんなふざけた部活動をやっていたのかとお怒りの父親(鳳敬雄)は恥をかかせる気かと言っています。 去っていく敬雄はお見苦しいところをお見せしましたと譲に言います。 「手厳しいですな。鏡夜くんは優秀なのに。できのいい子を4人も持ちながらあんたはやっぱり欲が深いな。お話は聞いています。マスコミが騒ぐのは時間の問題でしょうが、まさか八つ当たりではないでしょうな?」 何も言わず去っていく敬雄。 大丈夫かと鏡夜に言う環。 なんてパパさんだと言う光。 眼鏡をかけた人を殴るなんてねと言うハニー先輩に、そういうことじゃないでしょと言う馨。 ホスト部をやっているから殴られたのかと鏡夜に尋ねるハルヒに、予想はしていたことだと答える鏡夜もどこかに歩いていきました。 「ホスト部のせいなのか…?」 そんな環に近づいていく譲。 「我侭は高くつくものだ。普通の人より責任ある立場に立つということは好きなこと、好きなもの、そして好きな人を自由に追いかけられなくなることでもある」 お客様と話しているハルヒを見ている環。 「これからお前はどうしたい?須王の家を継ぎたいか?それは難しい選択だぞ。私は未だにその答えを見つけられずにいる。お前は自分が一番欲しいものが何か本当に分かっているのか?ほうら、おばあさまがいらっしゃった」 「おばあさま!!きてくださったのですね」 祖母に駆け寄っていく環。 僕、あの人嫌いだと言うハニー先輩。 「さ、奥の席へ」 「触らないで頂戴。汚らわしい。エクレールさん、こちらへいらっしゃい」 さっきの女性が歩いてきます。 「今日と明日の学祭の間、このエクレール嬢をエスコートなさい」 女性はエクレール・トネールという名だそうです。 「どしたの?私が言ってるのよ」 「よろしく、環」 「分かりました、おばあさま。彼女に喜んでいただけるよう全力を尽くします」 ホスト部営業中のサロンに環が戻ってきません。 マジで学祭中はエスコートするつもりなのかなと言う馨。 あの女の子何者なんだろうと言っている双子。 れんげが知っていると言います。 「エクレール・トネール。伯爵家の家柄でもあるフランスの名家、トネール家の三女」 「れんげくんもフランス育ちだったな。そ、トネール家は単に家柄がいいだけではなく最近我が国の企業を買収している外資系企業として経済界で騒がれているあのグラントネール社のオーナーでもある。もっとも、そのご令嬢が何故環に会いに来たのか知らないがな」 学院内をゴンドラに乗って美術部員の作品を見ている環とエクレール。 退屈で学生の作品なんてどうでもいいと言うエクレール。 「これは手厳しい。しかし、困ったな。この桜蘭祭は学生の祭です。どこへ案内されれば喜んでもらえるのかな?」 「私、環のピアノが聞きたいな。お願い」 ネクタイを締めながら、鏡夜の何故会いにに来たのか知らないがなという言葉を思い出すハルヒ。 「こんなところで?」 「一応、音楽室ですから」 2人に気づいたハルヒ。 ハルヒは音楽準備室で着替えていたようで、音楽室からピアノの演奏が聞こえてきます。 環の演奏を聞いているエクレール。 「ここがいつもホスト部やらをやってる場所なんでしょ?サロンで拝見させてもらったけどみんなとても仲がいいのね」 「それはもう我がホスト部は家族同然の集まりですから」 「日本じゃ本物の家族でもないのに家族をごっこするのをままごとって言うんでしょ?環1人の我侭で皆が辛い思いをするんじゃないの?眼鏡のホストくん、パパに殴られれたものね」 環の演奏の手が止まります。 本当は皆、裏では色々なものを犠牲にしているのではないかと環は確かに弁護士を目指し、1分でも多く勉強していたいハルヒにも毎日部活を強制して時間を無駄にさせてしまっていると考えます。 音楽準備室から出てくるハルヒは着替えに戻ってきていると言います。 1日に3回衣装を変えるって言ったのは先輩でしょうと。 言い出した本人がサロンを放っぽり出して皆怒っていますよと言います。 「あ~ら、悪いわね。環は今、私のものだから。ふふ、だけどなんだか、あなたヤキモチ妬いてるみたい」 嬉しそうな環。 違いますよ、お邪魔してすいませんと言って音楽室から出て行くハルヒ。 ハルヒを追いかけようとする環の手を掴むエクレール。 「何?環はあんな豆狸がいいの?」 「失礼な。うちの娘を豆狸呼ばわりするのは止めてくれ」 「娘ね…。ままごとの家族は所詮ままごと。代用品でしょ?」 環をソファに押し倒すエクレール。 「環の一番欲しいものを、私はあげることができる」 ハルヒのタキシード姿を可愛いと言うれんげやお客様たち。 「ハルちゃん可愛いっ」 「あぁ」 一番に楽しみにしていた環はどうしたんだろうと言う双子。 「先輩なら第三音楽室にいましたよ。エクレール譲渡一緒でした」 「何だ?」 「それ、結構ヤキモチっぽいぞ」 うんうんと頷くハニー先輩とモリ先輩。 違うと言うハルヒ。 だから?と言う4人。 だけど今回の環は無責任ですよねと言うハルヒ。 他ならぬおばあさまの命令だから大目に見てやれと言う鏡夜。 おばあさんは冷たい感じでしたねと言うハルヒ。 「何か理由でもあるんでしょうか?」 「ま、皆知ってることだけどさ」 「要するに殿って、お妾さんの子なのよ」 「えっ!?」 「20数年前、須王家の先代が若くして亡くなり、この学院の減理事長である譲氏は母親の決めた相手と所謂、計略結婚し、跡を継ぎました。しかしながら数年後、理事長はフランスで出会った女性と本物の恋に落ちてしまいました。」 「それでたまちゃんが生まれたんだよね」 『お母様、妻とは別れ、彼女と結婚します』 「けれど、ばあさんは大反対。殿のお母さんは病弱で日本で暮らすのには支障があったこともあり、殿はそのまま14歳までフランスで育ったんだ。殿にはそれなりに幸せな少年時代があったみたいなんだけど、でも、やがてお母様の実家の事業が失敗して、多額の負債を抱えてしまっちゃったとき…」 「須王家の跡取りがいないことに焦り始めたばあさんが提案したんだ」 『この先不自由なく暮らせるだけの金の工面だけはしてやろう。但し環だけは日本に寄越しなさい。そして金輪際、あなたと環が会うことは許しません。それが援助の条件です』 「そんな…」 「須王の当主は理事長の譲氏だが、事実上の最高権力者は会長職のあのおばあさまだ。おまけに環の母親は体が弱く、須尾の援助なしで路頭に迷えばどうなるか分かりきっていた。だから…」 『行くよ、俺。1人で日本に行くね。大丈夫だから、どうか母さん、元気で』 「寂しさからか、それとも環を金と引き換えにしたことへの後ろめたさからか、母親はその後、身を隠すようにどこかに移り住んだらしい。現在は行方不明だそうだ。だから、それ以来環は母親と会っていない」 ハルヒは母親の葬式のことを思い出しています。 「もうお母さんには会えないの?」 つないでいた手を強く握り返す蘭花。 『知らなかった。普段はあんなに明るいけど、そんな辛い生い立ちで…。もし自分が環先輩だったら、あのおばあさまを恨まずにいられるかな…』 ソファから立ち上がる鏡夜。 「同情するのは簡単だが、でも俺は環が今の環でよかったと思っている。あいつは大丈夫さ。全てを受け入れた上であいつはここにいるんだ。このホスト部にね」 そこに環とエクレールが入って来ます。 「皆に大事な報告がある。俺はこのエクレール・トネール嬢と婚約することにした。それから、ホスト部はこの桜蘭祭が終わり次第、解散する。以上だ」 笑みを浮かべるエクレール。 目を見張るハルヒ。 第25話完 ジャンル別一覧
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